時はもうすぐ1970年になろうとしていたある日のことであった。
私はとある団地で生まれ育ったのだが、初期の公団住宅には建物の側面にゴミの焼却炉がついていた。しかし当たり前のことながらその面に住んでいる人にとって熱や煙の害がひどくすぐにそれらは使われなくなり、そこは定期的に雑誌やダンボールなど今で言えば資源ゴミを置いておくだけの場所となった。
私はそこに行ってよく捨ててある雑誌を見るのが好きな子供であった。その日私がなにげなく手にした雑誌はいわゆるエロ雑誌でもなんでもない、おそらく週刊新潮、週刊読売、文春そういったたぐいのものであったが巻末のモノクログラビアのページに私の脳に数十年を経ても忘れることがない1枚の写真があった。
その写真のモデルはビキニを着てプールからあがってきたところのごく普通の構図であったがそのビキニの上に大きくはみ出した上乳と谷間が心を捉えたのである。しかし悲しいかな私は今その人の名をどうしても思い出せない。添えてある文章さえかなり覚えているというのに!
「終戦記念日ということで尋ねてみたがさしたる感想もなかった、それもそのはず彼女が生まれたのは昭和 年、すでに終戦を 年も過ぎている。経済の成長と呼応するかのように発育した彼女はもうごらんのように既製の水着でははみ出すのが悩みだそうだ。
~ 中略 ~
彼女の1年先輩にはドラマで人気を得たあの中山麻里がいる、、」
私はそのページを破いて持って帰る勇気がなかったが家に帰ってからどうしてもまた見たくなり、それから何回も脚を運びその雑誌がゴミ収集されるまで何回も見入った。はじめて私が自分のある本質に気がついた瞬間であった。
「ぼくは女の人の胸が好きなんだ、、」
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